「何度注意しても忘れ物がなくならない」
「忘れ物を繰り返す小学生への対応方法を知りたい」
小学生は毎日の持ち物が多く、つい教科書や文房具などを忘れてしまいがちです。
しかし、何度も忘れ物を繰り返す子がいると、本人はもちろん周囲の大人も困ったりイライラしたりする場面が増えるでしょう。
小学生の忘れ物をなくすには、一人ひとりの特性や状況に応じて適切に対応することが大切です。
本記事では、忘れ物が多い小学生の特徴や家庭・学校別の対応方法、先生や親のNG行為について解説します。
忘れ物を繰り返す子へのアプローチ方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
何度注意しても行動が改善されないと、どうしたら良いかわからなくなってしまいますよね…。
忘れ物が多い小学生の特徴とは
忘れ物が多い小学生には、以下のような特徴が見られます。
- 整理整頓が苦手
- 注意力散漫になりやすい
- 見通しを持って行動するのが難しい
- ADHDなど発達障害の可能性も
忘れ物を繰り返す子の特徴をつかめると、子どもに合わせた対応策も考えやすくなります。
子どもの様子を観察し、上記に当てはまる部分がないかチェックしてみましょう。
整理整頓が苦手
忘れ物が多い小学生は、整理整頓が苦手な傾向にあります。
整理整頓ができないと、必要な物を見つけるのに時間がかかり、そのうち探すのを諦めて学校に持っていけないケースが多く見られます。
整理整頓が苦手なせいで物を無くし、道具を準備できないことも道具を忘れる理由の一つです。
ゲームやおもちゃを出したまま片付けなかったり、カバンや机の中にプリントを散乱させたりする子は、物を整理できず忘れ物も多くなるでしょう。
仮に翌日の持ち物を把握していても、整理整頓が苦手だと準備に手間取るため、きちんと用意できたか確認する時間をとれず、忘れ物につながる場合もあります。
整理整頓が苦手な子の忘れ物をなくすためには、整理整頓を習慣化するための声かけ・環境づくりが大切です。
注意力散漫になりやすい
注意力散漫になりやすい子も、忘れ物をしがちです。
大人や中高生に比べると、小学生の集中力は切れやすく、注意力散漫になりやすい子は短時間でも集中するのが難しい傾向にあります。
そのため「先生の話を聞く」「自宅で準備する」などの場面で気が散ってしまい、忘れ物を繰り返してしまいます。
たとえば、学校で先生が持ち物の連絡をしたとしても、周りに気を取られて話を聞いていなかったら、いつ何を持ってくるのかを把握できません。
自宅でも、スマホやゲームなどに意識が向くと準備そのものを忘れる可能性があります。
子どもの集中力は無意識のうちに切れてしまうため、集中が続かないことについて大人が強く叱ってもあまり効果はありません。
注意力散漫な子の忘れ物を減らすためには、持ち物を把握したり準備に集中したりするための工夫を取り入れましょう。
授業中に落ち着きがなかったり上の空で話を聞いたりしている子は、他のことに注意が向きやすいのかもしれません。
見通しを持って行動するのが難しい
先の見通しを持って行動するのが難しい子は、学校の準備を後回しにするクセがついて忘れ物が多くなってしまいます。
低学年の子にとって、時間割を見ながら学校の準備をするのは大変な作業です。高学年でも、翌日の持ち物が多いと準備を面倒に感じるでしょう。
しかし、学校の準備をしないままでいると朝の短い時間に慌てて準備をすることになり、結果的に忘れ物が増えてしまいます。
上手に見通しを持てない子の忘れ物をなくすためには「◯時になったら準備する」と前もって時間を設定する方法がおすすめです。
時間に余裕があるうちに学校の準備を済ませておくと、翌日の朝も持ち物チェックを丁寧に行えるため、忘れ物を減らせます。
ADHDなど発達障害の可能性も
ADHDなどの発達障害が原因で、忘れ物を繰り返す可能性も考えられます。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、12歳以前から見られる発達に不釣り合いな注意力・衝動性・多動性を特徴とする発達障害の一つです。
国立精神・神経医療研究センターによると、ADHDと診断される学童期の子どもの割合は3〜7%だといわれています。
ADHDの子どもは、注意力散漫になりやすく忘れ物も多い傾向です。授業中にじっと座っていられなかったり、感情のコントロールが苦手だったりする特徴も見られます。
ただし、ADHDの子でも大人の適切な支援によって忘れ物を減らすことは可能です。
発達障害だけにとらわれない考え方も大切
小学生の忘れ物に対応するうえで、発達障害の視点を持つことはもちろん大切です。
しかし、発達障害だけにとらわれず「子どもが何に困っていて」「どのように解決すべきか」を考える姿勢も忘れてはいけません。
忘れ物を繰り返す子の原因を探るときは、すぐに「発達障害だ」と決めつけず、一人ひとりの特性を丁寧に見取ったうえで、適切な対応策を検討するように心がけましょう。
忘れ物が多いことも含め、子どものADHDに関する悩みや疑問がある方は、かかりつけ医や下記のページに掲載されている各種機関に相談してみてください。
【家庭編】忘れ物が多い小学生への対応方法
忘れ物が多い小学生への対応は、家庭と学校が協力しながら行うことで大きな効果が期待できます。
まず、家庭では以下3つの方法を実践しましょう。
- 子どもと一緒に持ち物を確認する
- 物の置き場所を固定する
- 学校の準備をする時間を決めておく
家庭では、学校の準備をスムーズに進められる環境づくりをすることがポイントです。
子どもと一緒に持ち物を確認する
子どもが学校の準備に慣れないうちは、親子で一緒に持ち物を確認しましょう。
具体的には、連絡帳や時間割を一緒に見ながら必要な持ち物をチェックします。
特に、図工の材料や学校行事で使う道具などは数日〜数週間前に学校から連絡があるため、忘れずに確認してください。
持ち物をカバンに入れるときは、ホワイトボードにチェックをつけながら準備を進めると忘れ物を防げます。
上靴や水筒など、カバンの中に入らない・当日でなければ用意できない物については、付せんやメモに書いて見える場所に貼っておきましょう。
子どもが慣れてきたら、徐々に親御さんのサポートを減らします。最後まで一人で準備し、忘れ物が減ったら積極的に褒め、子どもに自信を持たせることが大切です。
物の置き場所を固定する
子どもの忘れ物をなくすには、物の置き場所を固定する方法もおすすめです。
物の置き場所が固定されると整理整頓の習慣が身につき、子どもが短時間で準備を終えられるようになります。
物の置き場所を固定するときは、まず不要な物を減らしましょう。物の置き場所を決めても、所有物が多ければ管理に手間がかかるためです。
特に、整理整頓が苦手な子は持ち物が多い傾向にあります。長期間放置している物や今後使う予定がない物は、人にあげたり処分したりして身の回りをスッキリさせましょう。
次に、子どもと相談しながら物の置き場所を決め、片付ける場所に印をつけます。引き出しや収納箱に名前シールを貼っておくと、片付ける場所が明確になって整理しやすくなります。
勉強道具は一か所にまとめる
物の置き場所を固定するとき、勉強道具はできるだけ一か所にまとめておきましょう。
部屋のあちこちに勉強道具が置いてあると、準備中の動きが増えて集中力が切れる可能性があります。
スムーズに準備を進めるには、学校に必要な道具を一か所にまとめて余計な動作を減らすことが大切です。
物の置き場所は本人に決めてもらうと、親御さんが決めるよりも簡単に場所を覚えられます。
学校の準備時間を決めておく
あらかじめ学校の準備時間を決めておく方法も、忘れ物を防ぐには効果的です。準備時間は前日に設けることで、翌日の朝も慌てず持ち物を確認できます。
いつ学校の準備をするかは、子どもと相談して最適なタイミングを決めましょう。
おすすめは学校から帰ってきたタイミングです。記憶が新しいうちに翌日の準備をすることで、持ち物を確認しやすくなり忘れ物を防げます。
学校終わりに時間を確保できない場合は、夕食後や歯磨き前など、毎日のルーティンに準備時間を組み入れましょう。
「◯時◯分から」と厳密に決める必要はありませんが、準備のタイミングを決めておくと時間に余裕を持って勉強道具を用意できます。
「今日は◯分で準備してみよう!」とゲーム要素を取り入れても面白いですよ。
【学校編】忘れ物が多い小学生への対応方法
小学生の忘れ物をなくすためには、家庭だけでなく学校でも適切な指導をする必要があります。
学校での具体的な対応方法は、次の3つです。
- 持ち物の連絡は早めにする
- 忘れ物をした場合の適切な行動を伝える
- 忘れずに持ってきたら積極的に褒める
家庭と学校からのアプローチによって忘れ物が減ると、子ども自身が楽しい気持ちで授業に参加できるようになります。
持ち物の連絡は早めにする丨連絡帳やメモに書くことも忘れずに
子どもの忘れ物を防ぐためには、先生から持ち物の連絡を早めにしてあげましょう。
毎日持ってくる物の連絡は基本的に不要ですが、イレギュラーで必要な物がある場合は、準備期間を設けるためにも口頭やプリントで知らせておくのがおすすめです。
たとえば、習字道具や絵の具セットは多くても月に数回しか使用しません。しかし、当日に忘れると子どもが授業に参加できず、大幅に遅れを取ってしまいます。
このように、使用頻度は少なくても忘れることで子どもの学習機会を失う道具については、遅くても1〜2週間前から学級通信やメール配信などで知らせましょう。
忘れ物が多い子には、連絡帳やメモに書いて保護者に渡すよう伝えるのもポイントです。
学校では、子どもが忘れ物をしたときにだけ指導するだけでなく、忘れ物を防ぐための工夫も取り入れましょう。
忘れ物をした場合の適切な行動を伝える
子どもが忘れ物をしたときは「忘れ物をしたときはこうしましょう」と適切な行動を伝えることも大切です。
たとえば、子どもが忘れ物をしたときは「◯◯を忘れたので、貸してください」と先生に伝えるよう指導します。
先生は「今日はこれを貸します。明日は持ってきてください」と返答するだけで十分です。
このように、子どものミスを先生が適切にフォローすると、信頼関係ができて「次は持ってこよう」と気をつける意識が高まります。
同じ子が何度も忘れ物を繰り返す場合は「どうしたら忘れ物を減らせると思う?」と一緒に考える方法もおすすめです。
忘れ物をする原因や対策を子ども自身に考えさせることで、当事者意識が高まり行動を改善しやすくなります。
予備の文房具やノートの代わりになる紙をいくつか揃えておくのもポイントです。
忘れずに持ってきたら積極的に褒める
子どもが勉強道具を忘れずに持ってきたときは、積極的に褒めましょう。
たしかに、忘れ物をしないのは当たり前のことかもしれません。しかし、忘れ物を繰り返す子が勉強道具をきちんと持ってくる過程には、本人なりの努力があったはずです。
そのため、周りの子と比べたら当たり前に見える行動でも、先生はその子自身の頑張りを汲み取って褒めるようにしましょう。
具体的には「きちんと準備してきたんだね」「さすが◯◯さんだね」と子どもにとって価値のある言葉を投げかけ、自信を高めます。
また、普段から忘れ物をせずに持ってくる子を評価することも大切です。
「いつも忘れずに持ってきてえらいね」「どうやって学校の準備をしているの?」と褒めたり質問したりすることで、忘れ物をしない子が活躍する場をつくれます。
忘れ物が多い子には逆効果!先生・親のNG行為
以下に挙げる2つの行為は、忘れ物が多い子にとって逆効果になる可能性があります。
- 忘れ物が多いことをきつく責める
- 必要以上に子どもを手伝う・フォローする
「忘れ物を減らさなければ」という気持ちが強すぎると、間違った対応につながるため気をつけましょう。
忘れ物が多いことをきつく責める
忘れ物が多いことについて「何度言ったらわかるの」「いい加減にしなさい」と強く責める対応は避けましょう。
忘れ物をなくすために頑張ろうとする気力を失い、ますます忘れ物が増えるかもしれません。
先生や親御さんに責められる恐怖心から、嘘をついたり友達の物を盗んだりして、忘れ物をした事実を隠すようになる可能性もあります。
大人の言葉で子どもの自尊心が傷つくと、忘れ物だけでなく他の問題行動も出てくるため注意が必要です。
子どもが忘れ物をしたときは、一方的に責めるのではなく「なぜ忘れたのか」「改善するためには何ができるのか」を一緒に考えましょう。
自分のために真剣に考えてくれる大人の姿を見ると、子どもの信頼度が増して行動の改善につながります。
必要以上に子どもを手伝う・フォローする
「忘れ物を防ぐため」という理由で、必要以上に子どもを手伝ったりフォローしたりする対応もおすすめしません。
大人が過剰に手伝いやフォローをすると、子どもは「どうせやってくれるから」と人任せになってしまいます。
大人はあくまでもサポート役であることを意識し、子どもが自分から行動できるように対応しましょう。
たとえば、親御さんは「明日は何が必要なのかな」と声をかけ、準備をするように促します。先生は、子どもが忘れ物を繰り返すことについて、当事者意識を持たせる働きかけをしましょう。
小学生の忘れ物を減らすには、子ども自身が「忘れ物をなくしたい」と強い意志を持つ必要があります。
先生や親御さんはサポート役として、子どもが前向きな気持ちで行動を改善できるようにアプローチしましょう。
まとめ
本記事では、忘れ物が多い小学生の特徴や家庭・学校別の対応方法、先生や親のNG行為について解説しました。
忘れ物が多い小学生には、整理整頓が苦手・注意力散漫になりやすいなどの特徴があり、それぞれに応じた適切な対応をとることが大切です。
家庭では学校の準備をスムーズにできるよう環境を整え、学校では忘れ物の原因や改善策を一緒に考える姿勢が求められます。
子どもが勉強道具を忘れずに用意できたら、先生や親御さんがしっかりと褒めることで大きな自信につながります。
本記事で解説したポイントを押さえ、忘れ物が多い子でも主体的に行動を改善できるよう、適切に対応しましょう。