「なぜか授業中に立ち歩いてしまう子がいる」
「何度注意しても直らない……どうしたらいい?」
何度も授業中に立ち歩く子がいると、どのように指導すべきかわからず困ってしまいますよね。
しかし、厳しく叱りつけたり無理やり座らせようとしたりすると、子どもとの信頼関係が崩れて反発を招くかもしれません。
本記事では、小学生が授業中に立ち歩く原因は教員の力不足なのか、立ち歩く理由や対処法について解説します。
本記事を読むと、子どもにも自分自身にも余計なストレスをかけることなく、授業中の立ち歩きを改善できます。
ぜひ参考にしてください。
小学生が授業中に立ち歩く原因は教員の力不足?
まずお伝えしておきたいのは、必ずしも教員の力不足が原因で授業中に立ち歩いているとは限らないことです。
多くの方は、クラスで授業中に立ち歩く子がいると「自分のせいかもしれない」と不安になってしまいますよね。
たしかに、授業内容が難しかったり勉強に飽きたりして立ち歩く子は一定数いるでしょう。
しかし、授業中に立ち歩く子全員が同じ理由で自分の席に座っていられないわけではありません。
その子自身が元々もっている特性や周りの環境によって長時間座るのが難しく、つい立ち歩いてしまう可能性もあります。
授業中立ち歩く子がいる時にまずやってほしいこと
授業中に立ち歩く子がいる場合は、3つの視点から子どもの様子を観察してみてください。
- 何の時間に立ち歩くことが多いのか
- 立ち歩くきっかけはあるのか
- どれくらいの時間であれば座っていられるのか
周りの状況や行動パターンを冷静に観察すると、授業中に立ち歩く原因も見えてきます。
問題行動を取っている子ども自身が、何かに困っている可能性もあるでしょう。
クラスの子が授業中に立ち歩くからといって、過剰に自分自身を責める必要はありません。
まずは子どもの様子を観察しながら立ち歩く理由や原因を探し、適切な対処法を取りましょう。
小学生が授業中に立ち歩く理由とは?
授業中に立ち歩く子がクラスにいる時は、むやみに注意するよりも理由を把握することが大切です。
小学生が授業中に立ち歩く理由としては、次の3つが考えられます。
- 長時間座ることに慣れていない
- 気になることが多くて衝動的に動いてしまう
- 授業が面白くない・つまらない可能性も
授業中に立ち歩く子がいると「早く座らせよう」と焦ってしまいますが、適切な指導をするためにも、まずは子どもを観察して理由を突き止めましょう。
長時間座ることに慣れていない
授業中に立ち歩く子は、長時間座ることに慣れていない可能性があります。特に低学年の子に多く見られるかもしれません。
就学前の幼稚園や保育所では遊んだり体を動かしたりする時間が多く、席に長時間座る機会は少ない傾向にあります。
しかし、小学校では1時間近く自分の席に座って勉強することになるため、そのギャップに戸惑うお子さんは多いでしょう。
そのため長時間座ることに慣れず、つい立ち歩いてしまう子がいるのは自然なことかもしれません。
低学年で立ち歩く子がいる場合は、まず学校やクラスのルールを説明して少しずつ慣れさせましょう。
子どもの特性によっては「◯時◯分までは座って話を聞く」と紙に書き、見える場所に置いておく方法もおすすめです。
教室内外で気になることが多い
教室内外で気になることが多い子も、好奇心を抑えられず衝動的に立ち歩く傾向にあるでしょう。
小学校は教室の中や外に、子どもの興味を引く刺激物がたくさんあります。
具体的には以下のとおりです。
- 教室内の掲示物
- 机上に置かれた勉強道具
- 友達の話し声
- 教科書・ノートをめくる音
- 他クラスの子が歩く足音
- 音楽室から聞こえる楽器の音
これらの視覚的情報や音を感じ取ると、それが気になって授業中でも関係なく立ち歩くかもしれません。
中には周りの刺激を不快に感じ、それを避けるために立ち歩く子もいます。
いずれにせよ、周りの刺激に反応して立ち歩く子の場合は、注意力散漫にならないよう環境を整えてあげる必要があります。
子どもが「何の刺激に」「どのように」反応するか、注意深く見ておきましょう。
授業が面白くない・つまらない可能性も
小学生が授業中に立ち歩くのは「授業が面白くない・つまらない」と感じている可能性もあります。
「授業が面白くない・つまらない」と子どもが感じる原因は主に次の2つです。
- 授業の内容がわからない
- 授業の内容に興味が持てない
授業のペースについていけず学習内容がわからない子は、授業が面白くないと感じてしまいます。
この場合は、個別のフォローに加えて授業の改善もしていきましょう。
授業内容を大きく変える必要はありません。振り返りの時間を長めに取ったり、友達同士で教え合う活動を取り入れたりしてみてください。
また、こだわりが強く特定の物事にだけ興味を持つ子だと、それ以外に関心を持てずつまらないと感じるかもしれません。
この場合は子どもが好きな分野を授業に取り入れてみると、自分の席に座れるようになります。
小学生が授業中に立ち歩くときにできる3つの対処法
それでは授業中に立ち歩いてしまう子がいる時、どのように対処したらよいのでしょうか。
小学生が授業中に立ち歩くときにできる対処法としては、次の3つが挙げられます。
- 授業中に体を動かす活動を取り入れる
- 落ち着いて勉強に取り組める環境を整える
- 座ることができたら目に見える形で褒める
それぞれ具体的に解説していきます。
1.授業中に体を動かす活動を取り入れる
授業中に長時間座り続けると子どもにとってストレスとなり、勉強に集中できなくなる可能性があります。
それを防ぐためには、授業中に体を動かす活動を取り入れてみましょう。適度に体を動かすことがリフレッシュとなり、再び自分の席に座って集中できるようになります。
具体的には、次のような活動が考えられます。
- 友達のノートを見に行く
- 自分の名前が書かれたマグネットを黒板に貼る
- 自分の考えを友達に教えに行く
事前にクラス全体で制限時間やルールを確認してから実施すると、子ども達も適度な緊張感を持って活動できるでしょう。
体を動かす活動を取り入れながら授業を進めると、自然に立ち歩きも減っていきます。
周りの子も気持ちを切り替えられる良いきっかけになるので、ぜひ試してみてください。
2.落ち着いて勉強に取り組める環境を整える
授業中に立ち歩く子が座るためには、落ち着いて勉強に取り組める環境を整えてあげることも大切です。
注意力散漫になりやすい子は特に、立ち歩くきっかけとなる刺激が教室内外に存在します。
子どもにとっての刺激を減らし、気持ちを落ち着けて勉強に取り組める環境を整えてあげると立ち歩く回数も減るでしょう。
教室の環境を整える際は、次の方法を実践してみてください。
- 黒板周りの掲示物を少なくする
- 机に置くものは最小限にする
- 先生がすぐサポートできるよう最前列に座らせる
そのほか、音に反応しやすい子がいる場合は保護者と相談してイヤーマフをつける方法も一つの手です。
立ち歩くきっかけとなる刺激を減らすと、子ども自身も不快な気分にならず安心して勉強に取り組めるようになります。
3.座ることができたら目に見える形で褒める
普段から授業中に立ち歩く子が長時間座ることができたら、目に見える形で褒めてみましょう。
授業中の立ち歩きが多いと問題行動ばかりに目を向けて叱りがちですが、それでは逆効果です。
授業中の立ち歩きを改善するためには「座れた」というプラスの行動に注目して褒めるアプローチも重要になります。
プラスの行動に目を向けて褒めると自信につながり、子どもは「もっと褒められたい」と頑張るでしょう。
特に小学生は言葉で伝えるだけでなく、目に見える形で褒めるのが効果的です。
たとえば、専用のカードやノートを用意して「1時間座れた」「チャイムが鳴ったら座れた」などの目標を達成したらサインをします。
サインの代わりにシールを貼るのもおすすめです。
子どもができたことに注目して評価すると「先生に褒められて嬉しい」「もっと頑張ろう」と前向きな気持ちで行動を改善できるようになります。
まとめ:授業中に立ち歩く子は困っているだけかもしれない
小学生が授業中に立ち歩くのは、長時間座ることに慣れていなかったり気になることが多くて衝動を抑えられなかったりする場合があります。
立ち歩きを改善する対処法としては、授業で体を動かす活動を取り入れたり、教室の環境を整えたりする方法が挙げられます。
また、授業中に立ち歩く行為ではなく「座れた」というプラスの行動に目を向けて褒めるアプローチも重要です。
授業中に立ち歩くのは問題行動に見えますが、実はその子自身が困っているだけの可能性もあります。
授業中に立ち歩く子も含めてクラス全体が落ち着いて勉強に取り組めるよう、本記事で紹介した方法を実践してみてください。