「授業中うるさい子がいて周りが集中できない」
「注意したら静かになるけど、またすぐに騒がしくなる」
学校での授業中、私語が多かったり友達の話を遮ったりする子がいると、教室全体が落ち着かなくなってしまいます。
しかし「静かにさせなくては」という焦りから無理やり黙らせようとすると、ますます事態を悪化させてしまうかもしれません。
そこで本記事では、授業中にうるさくする子の心理や適切な対処法、無理やり黙らせる指導が逆効果である理由について解説します。
本記事を読むことで、授業中に騒いでしまう子と信頼関係を築きつつ、落ち着きのあるクラスづくりができるようになります。
授業中の私語をなくし、全員が楽しく参加できるような授業づくりをしたい方は、ぜひ参考にしてください。
子どもの問題行動だけにとらわれず、その背景にある気持ちを理解することが重要です。
授業中うるさい小学生を無理やり黙らせるのは逆効果?
授業中にうるさい子がいると、周りの気が散ったり授業の流れが止まったりするため、静かにさせようと思うのは自然なことです。
だからといって、子どもに怒鳴りつけて無理やり黙らせようとする指導は逆効果になる可能性があります。
たとえば、先生が話しているにも関わらず、私語をやめない子がいたとします。このとき「静かにしなさい!」と大きな声で怒鳴ると、最初の1〜2回は効果があるかもしれません。
しかし、無理やり黙らせる指導を何度も繰り返すうちに、子ども達は怒られることに慣れてしまい、次第に言うことを聞かなくなってしまいます。
また、授業中に話している子を片っ端から注意して黙らせる指導もおすすめしません。
子どもが授業に関係のある話をしていた場合、注意されることで「せっかく勉強の話をしていたのに……」と、学習する意欲を一気に失ってしまいます。
先生の仕事は多忙で、授業も決められた時間の中で進めなければならないため、うるさい子にイライラするのは仕方がないことです。
しかし、授業中の私語を減らし子ども達と信頼関係を築くためには、できる限り落ち着いて対応しましょう。
私も教員一年目の頃は、何度もクラスで怒鳴ったことがあります…。
授業中うるさい小学生の心理とは
授業中うるさい子に適切な指導をするためには、まず問題行動の裏に隠された気持ちを把握しましょう。
小学生が授業中にうるさくする心理としては、次の3つが挙げられます。
授業中に騒いでしまう子がいる場合は、上記のどれに当てはまるかを探り、一人ひとりに合わせた対策を考えることが大切です。
授業がわからない・面白くない
小学生の場合、授業がわからなかったり面白くなかったりすると集中力が切れやすく、私語が増えてしまいます。
勉強が苦手な子だと自分が理解できない話を聞く時間が長くなるため、余計にストレスが溜まり騒いでしまうかもしれません。
わからないところを先生に質問できたらいいのですが、多くの小学生は自分の気持ちを言語化するのが苦手です。
そして、先生にうまく伝えられなかった結果「騒ぐ」という行為で自分の思いを表現してしまいます。
ここで大切なのは「うるさい」「静かに」と無理やり黙らせるのではなく、自分の指導を振り返り授業を改善することです。
授業がわからない・面白くないことが原因でうるさくなってしまうのであれば、子どもが楽しく勉強できるように工夫しましょう。
小学生は集中力が長続きしない傾向にあります。授業ではさまざまな活動を取り入れ、メリハリのある指導を心がけることが重要です。
教室内外の色々なものが気になる
教室内の掲示物や廊下から聞こえる音など、色々なものが気になって集中できず、うるさくしてしまう場合もあります。
たとえば、教室内外が以下のような環境であれば、注意力散漫になって私語が増えるかもしれません。
【教室内】
・黒板の周りに掲示物がたくさん貼ってある
・授業に関係ない道具を机に置いている
・床にゴミが散らかっている
・先生の机に書類や教科書が出しっぱなしになっている
【教室外】
・近くの音楽室から楽器の音が聞こえる
・廊下を歩く他クラス
・他学年の子がおしゃべりしている
・窓の外に気になるものがある
刺激に敏感な子は、このような環境にいると授業に集中したくてもできず、ストレスを抱えている可能性があります。
授業中うるさい子がいる時は、ただ注意するだけでなく「なぜ騒いでしまうのか」に焦点を当て、必要に応じてストレスを減らす環境づくりをしましょう。
居心地の良い教室環境は、子どもが授業に集中する上で大事なポイントですね。
周りに注目されたい
授業中うるさくする行為には「周りに注目されたい」という心理も隠されています。授業中にわざと大きな声で喋ったり、友達や先生の揚げ足をとったりして注目を浴びようとします。
しかし、注目されたい子は周りを不快にさせるのが目的ではありません。自分が注目されることで、承認欲求を満たしたい気持ちがあります。
承認欲求とは「自分を見てほしい」「褒めてもらいたい」と、他者に自分の存在価値を認めてもらいたいと思う願望のことです。
承認欲求は誰でも抱く感情ですが、自信がなかったり失敗を恐れたりする人は欲求が強くなり、周りを困らせる行動をとってしまいます。
つまり、自分に自信がなく周りに認められたい気持ちが強い子は、みんなに注目されることで安心感を得たいのです。
この場合は、子どもが授業中に騒ぐ以外の方法で、注目されたり褒められたりする機会をつくりましょう。適切な形で承認欲求を満たしてあげると、問題行動も次第に落ち着きます。
授業中うるさい小学生への適切な指導法
授業中うるさい小学生への適切な対処法は次の3つです。
子どもの気持ちに寄り添って上記の方法を実践すると私語が減り、周りの子も落ち着いて授業に参加できるようになります。
体を動かす活動を授業に取り入れる
1つ目の指導法は、体を動かす活動を授業に取り入れることです。勉強に飽きやすい小学生でも、適度に体を動かすことで集中力を保ったまま授業に参加できるようになります。
たとえば、子ども達が授業に飽きて私語が増えてきた場合は、以下の活動を取り入れてみましょう。
- 教室の中を歩き回って友達のノートを見る
- 友達同士で問題の解き方や考え方を教え合う
- 友達と意見を出し合いグループで一つの答えを導く
- 自分の名前マグネットを黒板に貼って意思表示する
このとき活動の目的や制限時間を子ども達に説明しておくと、緊張感を持って取り組めます。子ども達が活動内容をすぐに理解できるよう、わかりやすく簡潔に伝えましょう。
体を動かす活動が終わったら、一人でじっくり考える時間を設けることも大切です。勉強が苦手な子には、ここで個別指導を行い学習のサポートをします。
授業では「静」と「動」の活動をバランスよく取り入れながら、子どもが最後まで集中できるように工夫しましょう。
教室環境を整える
2つ目の対処法は、授業に集中できる教室環境を整えることです。教室外の環境を整えるのは難しいかもしれませんが、教室内だけでも余計な刺激を減らすと、子どもは勉強に集中できます。
具体的には、掲示物の数を必要最小限にして教室の後ろ側に貼りましょう。子ども達の机上には授業で使う物だけを置くようにし、使い終わった道具はすぐに片付ける方法もおすすめです。
子ども達のお手本となるよう、先生の机上にも不要な物は置かないように心がけましょう。
音に敏感な子の場合、どのような音が苦手なのか確認しておくと事前に対処できます。
耳栓やイヤーマフを活用したり、机や椅子にカバーをつけたりすることで、不快な音によるストレスが軽減されるかもしれません。
色々なものが気になる子の場合、整然とした教室環境を用意してあげると落ち着いて勉強できるようになります。
特性が強くさまざまな刺激に敏感な子の場合は、保護者の方に相談して一緒に対応策を考えましょう。
活躍の場を与える
3つ目は、うるさくなってしまう子に活躍の場を与える指導法です。周りから注目されたい子の場合、あえて発表させたり褒めたりすることで、正しく承認欲求を満たせます。
具体的には、以下の方法を実践してみましょう。
- 「あなたの考えも教えてくれる?」と発表を促す
- 子どものつぶやきを拾って「◯◯さんがこう言ってるよ」と全体に共有する
- 子どもの良い行動を全体の場で褒める
ただし、授業中にうるさくする時だけ注目される機会を与えると「こうすれば認めてもらえる」と勘違いしてしまう可能性があります。
そのため「授業に無関係な話はしない」「友達の話は最後まで聞く」などのルールは守るように粘り強く指導しましょう。
また、授業中うるさい子だけでなく、周りの子に対しても活躍の場を与えて自信を持たせることが大切です。
適切な形で承認欲求が満たされ安心感を得られると、子どもは授業に対して意欲的になり、騒ぐ回数も減っていくでしょう。
私が担任をしていた時は、給食や掃除の時間、学級活動でも子どもが活躍できる機会を積極的につくっていました!
まとめ:子どもの気持ちがわかると「黙らせる」以外の方法も見えてくる
本記事では、授業中にうるさくする子の心理や適切な対処法、無理やり黙らせる指導が逆効果である理由について解説しました。
授業中うるさい子には「授業がわからない」「色々なものが気になる」「注目されたい」という気持ちが隠されている可能性があります。
そのため、細かく指摘したり怒鳴ったりして無理やり黙らせても、あまり効果はないでしょう。
子どもが授業中に騒いでしまう場合は、自分の指導を振り返り授業の中身を改善します。体を動かす活動を取り入れ、子どもが楽しく授業に参加できるよう工夫しましょう。
教室環境を整えることで余計な刺激を減らしたり、活躍の場を与えて承認欲求を満たしたりする方法も効果的です。
本記事を参考に、授業中にうるさくなる子どもの気持ちを理解し、みんなが安心して授業に参加できる指導法を実践しましょう。