「子どもが授業中に立ち歩くのは自分の授業がつまらないから?」
「立ち歩く子に影響されて学級全体の落ち着きがなくなってきた……早くなんとかしたい!」
はっきりとした理由もなく授業中に立ち歩く子がいると、どのように指導すべきかわからなくなってしまいますよね。
自分の指導力に問題があるのではないか、子ども達に舐められているのではないか、と自信を失いかけている方も多いと思われます。
結論、子どもが授業中に立ち歩く原因は、必ずしも教員の力不足であるとは限りません。
授業中に立ち歩いてしまうのは、子ども自身の特性や周りの環境など、さまざまな要素が絡み合っている可能性があるためです。
もちろん、人によっては授業に興味が持てないために立ち歩いてしまう場合もあります。
授業中の立ち歩きをなくすには、子どもの性格や行動パターンから根本的な原因を探り、授業の流れや日頃の声かけを工夫することが大切です。
そこで本記事では、小学校教員として約5年の実務経験を持つ筆者が、子どもの授業中に立ち歩く原因や行動改善につなげる対処法について解説します。
本記事で紹介している方法を実践すれば、授業中の立ち歩きが減るだけでなく、周りの子も楽しく勉強に取り組めるようになり学級崩壊をしっかりと防げるでしょう。
問題行動の根本的な原因を知って改善につなげたい方は、ぜひ参考にしてください。
子どもが授業中に立ち歩く原因は教員の力不足?

責任感の強い方は特に、授業中に立ち歩く子どもがいると「自分のせいかもしれない」と自分自身を責めてしまいますよね。
ただ、冒頭でもお伝えしたとおり、子どもが授業中に歩くのは必ずしも教員の力不足が原因とは限りません。
たしかに、授業内容が難しかったり勉強に飽きたりして立ち歩く子どもが一定数いるのは事実です。

私も教員時代は子どもの立ち歩きを止められず、クラス全体が落ち着かないまま授業を進めていたこともありました。
しかし、授業中に立ち歩く子どもの全員が、同じ理由で自分の席に座っていられないわけではありません。中には、大人の手助けを必要とする困りごとを子ども自身が抱えている場合もあります。
授業中の立ち歩きをなくすには、むやみに注意するのではなく原因に合った対処法でアプローチすることが大切です。
次の章では、子どもが授業中立ち歩くときに考えられる原因を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
授業中に立ち歩く子どもがいるときは、以下の3つの視点から行動パターンを観察してみましょう。
・何の時間に立ち歩くことが多いのか
・立ち歩くときのきっかけはあるのか
・どれくらいの時間であれば座っていられるのか
「社会の授業だけ立ち歩く」「ペア学習のときだけ立ち歩く」など、一定の行動パターンが見えてくると、根本的な原因も特定しやすくなります。
子どもが授業中に立ち歩くからといって、過剰に自分を責める必要はありません。
子どもの様子を観察しながら立ち歩く原因を見つけ出し、適切な対処法を取りましょう。
子どもが授業中に立ち歩く3つの原因

子どもが授業中に立ち歩く原因としては、主に以下の3つが挙げられます。
授業中に立ち歩く子どもがいると「早く座らせなければ」と焦ってしまいますよね。ただ、原因もわからないまま無理に座らせるのは、逆効果となる可能性があります。
適切な指導で子どものやる気を引き出すためにも、まずはじっくりと行動を観察し、根本的な原因を突き止めましょう。
1.長時間座って話を聞くことに慣れていない
授業中に立ち歩く子どもは、長時間座って話を聞くことに慣れていない可能性があります。
小学校低学年の子どもは特に、幼稚園や保育園生活とのギャップが大きいため、その傾向が強いでしょう。

私が1年生の担任をしていたときは、授業の後半になると座っているのが苦痛になり、姿勢が崩れてしまう子も何人かいました。
外遊びやお昼寝、おやつの時間などがある生活から1時間近く座って勉強する生活に変わったとき、なかなか適応できず立ち歩いてしまうのは、自然なことかもしれません。
長時間座って話を聞くのに慣れていないために、授業中立ち歩いてしまう場合は「なぜ立ち歩いてはいけないのか」を丁寧に説明しましょう。
授業中に立ち歩くと、他の子が集中できなくなってしまうことを理解できると、子どもは最後まで頑張ることができます。
どうしても座っているのが難しい場合は、落ち着いて授業に参加できる方法を子どもと話し合ってみるのもおすすめです。
2.教室の中や外で気になるものが多い
教室の中や外で気になるものが多く、好奇心を抑えられないために立ち歩く場合もあるでしょう。
学校には、以下のように子どもの興味を引くものが溢れています。これらの刺激が気になると、近くで見たり聞いたりするために、授業中でも関係なく立ち歩くかもしれません。
- 教室内の掲示物
- 机上に置かれた勉強道具
- 友達の話し声
- 教科書・ノートをめくる音
- 他クラスの子が廊下で歩く足音
- 音楽室から聞こえる楽器の音
もともと注意力散漫な傾向がある子どもは特に、小さな刺激でも敏感に察知する可能性があります。
中には、周りの刺激を不快に感じ、それを避けるために立ち歩くケースも見られます。
周りの刺激に反応して立ち歩く子どもの行動を改善するには、授業中に気が散らない環境を整えてあげることが大切です。
子どもが「何の刺激に」「どのように」反応するかをチェックすることで、適切な対処法を見つけやすくなります。
3.授業が面白くない・つまらない
「授業が面白くない・つまらない」と感じることが原因で、立ち歩いてしまう子も一定数存在します。
ただ、授業が面白くないと感じる要因は人によってさまざまです。
以下を参考に、子どもの様子を観察したり話を聞いたりしながら、面白くない・つまらないと感じるポイントを探ってみてください。
- 勉強への苦手意識が強く授業内容を理解できない
- 教科の好き嫌いが激しく授業に興味を持てない
- 勉強自体は好きだが教員の説明がわかりにくい
- 座って話を聞く時間が長いため飽きてしまう
授業が面白くない・つまらないと感じる原因を特定できたら、個別のフォローや授業改善を行い、子どもの学習意欲を高めましょう。
忙しい中で自分の指導法を見直すのは大変ですが、少しずつ改善することで、周りの子も楽しく授業に参加できるようになります。

「今日はペアで話し合う時間を多めにしてみようかな?」「試しに違うアプローチをしてみよう」など、色んな方法を取り入れながら子どもの反応を見るのがおすすめですよ!
授業中の立ち歩きを改善する対処法

子どもが授業中に歩くときの効果的な対処法は、以下の3つです。
それぞれ具体的に解説していきます。
授業中に体を動かす活動を取り入れる
授業中に長時間座り続けることは子どもにとってストレスとなり、勉強に集中できなくなる可能性があります。
それを防ぐためには、授業中に体を動かす活動を取り入れるのがおすすめです。適度に体を動かすことがリフレッシュとなり、再び自分の席に座って集中できるようになります。

私が小学校教員として働いていたときは、以下の活動で子どもが動ける時間を設けていました!
友達の色んな考えや意見を知ることで、子ども自身の学びも深められますよ。
- 友達の考えが書かれたノートを見に行く
- 自分の意見を示すためにネームプレートを黒板に貼る
- 自分で導いた答えやプロセスを友達に教える
上記の活動を行うときは、事前にクラス全体で制限時間やルールを確認しておくと、子ども達も適度な緊張感を持って活動できます。
普段から立ち歩いてしまう子どもだけでなく、クラスメイトも気持ちを切り替えられる良いきっかけになるので、ぜひ試してみてください。
落ち着いて勉強に取り組める環境を整える
授業中に立ち歩く子どもの行動を改善するには、落ち着いて勉強に取り組める環境を整えてあげることも大切です。
注意力散漫になりやすい子どもは特に、立ち歩くきっかけとなる刺激が教室の中や外に多数存在します。
子どもにとっての刺激を減らし、気持ちを落ち着けて勉強に取り組める環境を整えてあげると立ち歩く回数も減るでしょう。
具体的には、次の方法を実践してみてください。
- 黒板周りの掲示物を教室の横・後ろに移動させる
- 机には授業に必要なものだけを置くよう徹底する
- 子どもをすぐサポートできるよう最前列に座らせる

机周りの整頓を徹底すると、授業中に手遊びをしてしまう子どもも減るので一石二鳥です!
周りの音に対して敏感に反応する子どもの場合は、保護者と相談してイヤーマフをつけることも検討しましょう。
教室の環境を整えることで、子どもが集中して勉強に取り組めると、学習内容の理解も進んでクラス全体の成績向上につなげられます。
座ることができたら目に見える形で褒める
授業中に立ち歩く子どもが長時間座って参加できるようになったら、目に見える形で頑張りを褒めましょう。
授業中立ち歩く子どもに対して叱るのは、教員として当然のことです。しかし、あまりにも注意の回数が多いと子どもの反発を招き、逆効果となる可能性があります。
子どもの問題行動を改善するには、良くない点を注意するだけでなく、頑張ったとき積極的にプラスの言葉をかけることも大切です。

私は「上手に自分の気持ちをコントロールできたね」「昨日よりも5分長く座れたね」など、具体的な言葉を使うよう意識していました。
さらに、以下の方法を取り入れると、子どもは自分の頑張りを視覚的に見れるためモチベーション向上につながります。
- 小さな目標を達成したら専用ノートにサインをする
- 最後まで座れたら「頑張りカード」にシールを貼る
子どもができたことに注目して評価すると「先生に褒められて嬉しい」「もっと頑張ろう」と前向きな気持ちで、行動を改善できるようになります。
まとめ

本記事では、子どもが授業中に立ち歩く原因や行動改善につなげる対処法を解説しました。
子どもが授業中に立ち歩くのは、主に以下の原因が考えられます。
授業中の立ち歩きを改善するには、これらの原因から子どもに当てはまるものを探り、個別のフォローや授業改善を行うことが大切です。
具体的には、以下の方法を取り入れましょう。
授業中に立ち歩くのは問題行動に見えますが、実は子ども自身が困っているだけの可能性もあります。
授業中に立ち歩く子も含めてクラス全体が落ち着いて勉強に取り組めるよう、本記事で紹介した方法を実践してみてください。