「子どもに叱る時、つい感情的になってしまう」
「どのように叱ったら子どもに伝わるのかを知りたい」
お子さんが間違った行動をした時、きちんと叱って正しい方向に導くことは親御さんの重要な役割です。
しかし、叱る場面になると何をどのように伝えたら良いのかわからず、つい感情的になって後悔する方は多いのではないでしょうか。
本記事では、小学生の子どもを伸ばすための上手な叱り方や保護者のNG行為、学年別の叱るコツを解説します。
お子さんを上手に叱って成長につなげたい方は、ぜひ参考にしてください。
小学生の子どもを伸ばす上手な叱り方
小学生のお子さんを感情にまかせず叱るためには、以下5つのポイントを意識しましょう。
- 叱る理由を説明する
- 子どもの話をしっかりと聞く
- 伝えたいことは短く簡潔に
- 今後どうするか一緒に考える
- 行動を改善できたら褒める
お子さんの気持ちも尊重しながら、わかりやすく説明したり一緒に考えたりすると親子の信頼関係が深まります。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
叱る理由を説明する
子どもは叱られた理由がわからないと、ただ怒られたという記憶しか残らず大事なことが上手く伝わりません。
そのため、お子さんを叱る時は良くない行動を注意するだけでなく「何がいけなかったのか」「どうしてダメなのか」もセットで説明しましょう。
お子さんが自分の叱られた理由について納得できると、話を聞き入れやすくなり行動の改善につながります。
「どうして叱られたと思う?」と問いかけ、お子さん自身に叱られた理由を考えさせる方法も効果的です。
叱られた理由を言語化する過程で自分の行動を振り返るため「たしかにこれは良くなかったかも」と反省を促せる可能性があります。
叱る時は自分の行動によって何が起こるのか、周りにどのような影響を与えてしまうのかを具体的に説明し、なぜダメなのかを理解させることが大切です。
子どもの話をしっかりと聞く
お子さんを叱る時は、つい親御さんの一方的な指導になりがちです。しかし、それだとお子さんは「怒られた」という気持ちでいっぱいになってしまいます。
恐怖心から「なぜダメなのか」「どのように行動すれば良かったのか」を考える余裕がなくなるため、結果的に同じ行動を繰り返すでしょう。
そこで大切なのは、叱る時にお子さんの話もしっかりと聞いて気持ちを確認することです。問題行動を起こした理由について、子どもなりの事情を肯定して受け止めてあげると、お子さんの気持ちが落ち着き反省につながりやすくなります。
小学生のお子さんは自分の気持ちを上手く言語化できない傾向にあるため、話を聞く際は言葉が出てくるまで辛抱強く待つのがポイントです。
最後まで話を聞き、そのうえで「気持ちはわかったよ。でも◯◯するのはダメなことだよね」と具体的な行動をピンポイントで注意しましょう。
伝えたいことは短く簡潔に
小学生のお子さんは脳が十分に発達しておらず、集中力も長続きしません。そのため、お子さんを叱る時は話をスムーズに理解できるよう、伝えたいことを短く簡潔にまとめましょう。
短く簡潔に伝える時のポイントは、今ここで起きている行動に焦点を当てて叱ることです。
たとえば、家の中を走り回っているお子さんを叱る場合は「家の中を走り回ると、怪我をしたり大事な物が壊れたりするからやめようね」とだけ伝えましょう。
この時「いつもそうなんだから」「あの時もこうだった」と今の行動とは関係ないことを話すと、叱る時間が長くなったりお子さんの人格否定につながったりする可能性があるため注意が必要です。
親御さんが一番伝えたいことを整理して話すと、お子さんは叱られた理由や改善策を正しく理解し、良い行動を取るために頑張ろうとする意欲が高まります。
今後どうするか一緒に考える
お子さんを叱る時は、今後どうしたら同じ行動を繰り返さなくなるかを一緒に考える方法も効果的です。
「◯◯だからダメだよ」と叱る理由を伝えるだけでなく「どうしたらやめられるかな?」と問いかけると、お子さんは問題を自分事として捉えるようになります。
また、お子さんと一緒に改善策を考えることで親御さんの真剣な姿勢が伝わり、行動を改めようとする意識も高まるでしょう。
今後どうするかを一緒に考える時は、親御さんの一方的な決定にならないよう、お子さんの気持ちや意思を確かめながら検討するのがおすすめです。
ただし、お子さんが改善策を考えられない様子であれば「こんな方法はどうかな?」と親御さんが提案したうえで今後の方針を決めましょう。
思いついた改善策はメモに書き、見やすい場所に貼っておくと忘れず実践できます。
行動を改善できたら褒める
お子さんに自信を持たせて良い行動を増やすためには、叱った後のフォローも重要です。
お子さんが行動を改善できたら積極的に褒め「やればできるんだ」「もっと頑張ろう」という気持ちを高めましょう。
「忘れ物しないように準備できてえらいね」「物を大切に使ってくれて嬉しいな」と具体的に伝えると、お子さんは何が適切な行動なのかを理解しやすくなります。
何か問題を起こした時に叱られるだけで行動を改善しても褒められない場合、お子さんは頑張る気力を失うでしょう。「悪いことをすれば親に見てもらえる」という誤学習につながり、問題行動が増える可能性もあります。
子どもの成長を支える上で大切なのは、お子さん自身の努力や成果をきちんと評価してあげることです。
良い行動が見られた場合は、些細な内容でも褒めるとお子さんの自信につながり、親子の信頼関係も深まります。
小学生の子どもを叱るときに重要なこと
お子さんの行動を良い方向へと導くためには叱り方が重要ですが、それ以外にも押さえておくべきポイントが2つあります。
- 「怒る」と「叱る」の違いを理解する
- どのような場面で叱るのかをはっきりさせる
「叱る」とはどういうことなのか、どのような場面で叱るべきかを具体的に理解すると、お子さんの心に響く指導ができるようになります。
「怒る」と「叱る」の違いを理解する
お子さんを正しく叱るためには、まず「怒る」と「叱る」の違いを理解しましょう。
「怒る」は、自分の感情をぶつける意味合いが強い言葉です。一方「叱る」は相手に助言をしたり、良い行動や方法について教えたりする意味が含まれています。
つまり、正しく叱るとは「何がいけなかったのか」「どのように行動すると良いのか」を的確にわかりやすく教えることだといえます。そのため、正しく叱るには親御さんが冷静でいることが大切です。
親御さんのイライラが募り「何をしているの!」「いい加減にして!」と感情的になる場合は深呼吸をしたり、別の部屋に移動したりして気持ちを落ち着けましょう。
わかりやすく伝わる言葉を選び、叱っている間の表情から気持ちを読み取って丁寧に話すと、お子さんの心に響く「叱る」指導になります。
どのような場面で叱るのかをはっきりさせる
お子さんを叱る時は、どのような場面で叱るかをはっきりさせておくことも重要です。叱る時の基準が明確になるため、叱る理由や適切な行動をわかりやすく伝えられます。
具体的には、お子さんが次の行為をした時にきちんと叱って間違いを正しましょう。
- 命に危険が及ぶ行為
- 他の人を傷つける行為
- 社会のルールに反する行為
お子さん自身の命に関わる行為が見られた場合は、二度と同じことを繰り返さないよう真剣な態度で叱る必要があります。
他人への暴言・暴力も、親御さんがきちんと叱って止めるべき行為です。叱る時にお子さんの気持ちを受け止めることは大切ですが、どのような理由があっても暴言・暴力を正当化してはいけません。
「電車やバスで大きな声を出す」「会計前の商品を開ける」など社会のルールに反する行為についても、子どものうちから適切な行動を伝えましょう。
何のために社会のルールが存在するかを丁寧に伝えることが、叱る時お子さんに納得感を持たせるポイントです。
保護者がやってはいけない叱り方
お子さんが何度も悪いことを繰り返すと、つい感情的になってしまう場面は誰にでもあります。
しかし、次の行動に出ると親御さんの思いがお子さんに伝わらず、むしろ悪影響を及ぼすかもしれません。
- 子どもの人格や考え方を否定する
- 他の人と比較する
- 叩いたり蹴ったりする
親御さんの言動や態度でお子さんを傷つけないためにも、誤った叱り方は避けましょう。
子どもの人格や考え方を否定する
どれだけ危険な行為をしていたとしても、お子さんの人格や考え方を否定するのはNGです。
「◯◯だからあなたはダメなんだ」「卑怯な子」「うそつきだ」のように、お子さんの行動ではなく性格を丸ごと否定する言葉をぶつけると自信低下につながります。
話を途中で遮ったり気持ちを否定したりした場合も、お子さんは「自分を受け入れてくれてない」と感じるでしょう。
あくまで叱る時は、お子さんの行動のみに焦点を当てて話をすることが大切です。具体的には「あなたはダメ」ではなく「◯◯するのはダメ」と言うように心がけましょう。
親としては、何度注意しても同じことを繰り返されるとストレスが溜まるものです。しかし、感情的になってお子さんの存在を否定すると信頼関係が崩れる可能性もあるため、叱る時の言動には気をつけましょう。
他の人と比較する
お子さんを叱る時は、他の兄弟や友達と比べないことも大切です。
たとえば、親御さんから「◯◯ちゃんはきちんとルールを守っていたのに」「お兄ちゃんはこんなことしないよ」と言われると、お子さんの自尊心が傷つきます。
「自分はダメな子なんだ」とマイナス思考に陥り、良い行動を取ろうとする気力が失われるでしょう。
叱ることの目的は、お子さんが取るべき行動をわかりやすく納得できる形で伝えることです。
そのため、お子さんを叱る時は他の人と比較する言動を避けて「次はどうすると良いか」を伝えたり、一緒に考えたりしましょう。
その結果、行動が改善された場合は「前よりも気をつけて行動できるようになったね」と、お子さん自身の成長にスポットを当てて積極的に褒めるのがポイントです。
親御さんが適切な評価をすることで、お子さんは正しい行動や考え方を学び大きく成長するでしょう。
叩いたり蹴ったりする
当然のことですが、どれだけ感情的になったとしても叩く・蹴るなどの行為は絶対にやってはいけません。
親御さんが手を上げると、お子さんは何も考えられないほどの恐怖に襲われます。お子さんの心が傷ついた結果、精神が不安定になり学校でのトラブルや非行問題に発展するかもしれません。
何を言っても行動が改善されないと、ついカッとなる場面があるのは仕方がないことです。しかし、感情的になって叩いたり蹴ったりするとお子さんの心や体が傷つき、親子関係に深い溝ができてしまいます。
感情的になりそうな時は、深呼吸をする・お子さんと離れる・家族に助けを求めるなどの方法でストレスを抱え込まない工夫をしましょう。
それでも怒りの感情が湧いてくる、手を上げそうで怖いという方は、地域の子育てセンターや、こども家庭庁が設置している相談窓口を利用するのも一つの手です。
【学年別】小学生の成長につながる叱り方
ここからは、お子さんの成長につながる叱り方を学年別に紹介します。具体的なコツは以下のとおりです。
- 低学年:子どもと同じ目線に立って目を合わせる
- 高学年:子どもの意思を尊重する
お子さんの成長や年齢による発達の違いを踏まえ、正しく叱ることで行動の改善につながりやすくなります。
低学年丨子どもと同じ目線に立って目を合わせる
低学年のお子さんを叱る場合は、同じ目線に立って目をしっかりと合わせながら話しましょう。
大人が立ったまま子どもを見下ろして叱ると威圧感を与えるため、「怖い」という印象しか残らず肝心の話が頭に入ってこなくなります。
家事や他の作業をしながら目を合わせずに叱る方法も、親御さんの真剣な思いが伝わらず逆効果です。
そこで、お子さんと目線の高さを合わせながら話をすると、安心感を持って親御さんの話を聞き「なぜ叱られているのか」「今後どうすれば良いのか」を正しく理解できます。
また、親御さんがまっすぐ目を合わせて真剣な表情で叱ると緊張感が伝わり、お子さんの心に響く指導になるでしょう。
高学年丨子どもの意思を尊重する
高学年になると、反抗期を迎えるお子さんが多くなってきます。
反抗期とは、自立心の芽生えによって大人の意見や指示に反抗的な態度をとる頻度が増える時期のことです。大人になる上で必要な成長過程ですが、親御さんの言うことを聞き入れないため対応に困る方も多いでしょう。
反抗期は「自分で物事を判断したい」という気持ちの表れでもあります。そのため、叱る時はお子さんの意思を尊重した上で改善点を伝えることが大切です。
具体的には「◯◯されたのが嫌だったんだね」と気持ちを受け止めたり「あなたは今後どうしたい?」と意見を聞いたりします。
「自分の気持ちがきちんと伝わっている」と感じると、お子さんは素直に話を聞き入れ行動を改善できるでしょう。
まとめ:言い過ぎてしまったらフォローも忘れずに
本記事では、小学生の子どもを伸ばすための上手な叱り方や保護者のNG行為、学年別の叱るコツを解説しました。
特に大切なポイントは以下の3つです。
- 子どもを叱る時は「怒る」と「叱る」の違いを理解し、なぜダメなのか・どのように行動すれば良いのかをわかりやすく伝えることが大切
- 叱る時に子どもの人格を否定したり、他の人と比較したりすると自尊心や自信の低下につながる
- 小学生は年齢によって特性が大きく異なるため、発達の違いを踏まえ「目線を合わせる」「子どもの意思を尊重する」などの方法で正しく叱ると良い
上記を意識することで、お子さんが悪いことをした時も冷静に適切な対処ができるようになります。
それでも感情的になって怒鳴ったり言い過ぎたりした時は、自分の非を認めて素直に謝りましょう。
言い過ぎてしまった時は忘れずにフォローすると、お子さんの信頼感が増し「自分も間違った時はちゃんと謝ろう」と間違いを認め、正すことの大切さを実感できます。
本記事を参考に、お子さんの成長につながる正しい叱り方を実践しましょう。